二重まぶたの間にある線が嫌だ。
二重のラインが薄く、その中に濃ゆい線がある。
三重目ではないけれども、少し風変わりな二重ぽくて少し不気味だ。
その目の線の調子によって、自分の顔が分かるような気がする。
線の調子が良いと、誰かに会いたくなるし、逆に線の入り込み具合が悪いと引きこもりたくなる。
埋没法も試したが、もうすでに取れている。
そんな何気ない二重の線でも、生きづらさを感じてしまうのだ。
ニートで職なしギャンブル狂いの彼はどんな生きづらさを感じているのだろうか。
私が中学生の頃。
彼とは同じ中学校だった。
中学1年生の頃は同じクラスで、あまり話したことはなかった。
彼は、ソフトボール部だった。
その時の印象は、足が速いとか運動神経が良いとか、坊主頭とかそのくらいの印象だった。
だんだんと惹かれたのは、周りの友達がその彼のことをかっこいいと言い始めたからかもしれない。
だんだん私も顔がかっこいいと思うようになった。
少しメールでやり取りをしたが、メールで話したくらいだった。
でも、今でも覚えている。
彼のメールアドレスの頭文字部分を。
それ以上にどう発展させるという思考もなく、その頃の中学生活は終わった。
高校生になると、同じ駅で偶然会った。
会って、お互いの恋愛事情について少し話した。
彼は、高校生になって彼女が出来ていた。
同じ部活の子らしく、仲が良さそうだった。
その時、私も彼氏がいたが、彼と付き合えるなんていいなと不意に思ってしまった。
さらに月日が経ち、お互いが20歳を越えて成人していた。
偶然最寄りの駅で会った時から、彼とは会っていないし連絡も取っていなかった。
彼は、高校卒業後大学に進学し都市部に出ていたそう。
しかし、大学を途中で辞めていたと風の噂で耳にしていた。
何となく連絡先をもっていたので、連絡してみた。
そこから何となく連絡が続いて、だんだんと打ち解けるようになった。
大学を辞めて、地元に帰ってきている。
それだけでも近くにいる存在のようで、少し胸が高まった。
大学を辞めるとはなんでだろうかと疑問に思ったが、そんなことはどうでもよかった。
そこからすぐ会おうとはならなかったが、連絡は続いた。
彼が何をしているのか気になった。
そして、問題はここからだ。
大学を辞めて実家に住み続け、働きもせずにギャンブルに狂っていたのだ。
短期や日払いのバイトをし、短期間で辞めパチンコ生活に戻る。
また、パチンコだけでやりくりしている時期もあったという。
現実と理想は違うのだ。
いくら中学生の頃のかっこいい王子様でも、年月を重ね、人様の生きざまを判断できるようになった今では、理想とかけ離れていると欠落してしまう。
彼が悪いわけではない。
私が彼を理解できないからである。
最初は、受け入れてみようかと考えた時期もある。
彼とはいい感じの雰囲気だったし、このまま付き合ってみるのもいいかもしれないと。
しかし、彼には持ってないものが多すぎた。
貯金は底をついて、支払い分だけ稼げばいい。
そういう問題なのか疑問に思う。
車やお金もない、それでもたばこは吸う。
バイトも就職も決まらず、パチンコには朝晩行く。
30歳になったら考える。
そんな姿をみて、ついていけないなと思ったのが本心だった。
もし、彼が大学を卒業して職について、車もお金もありギャンブルもタバコも吸わなければ上手くいってただろうか。
それはわからないが、私と彼は、何も始まらない関係だった。
彼がそれで幸せなら何も言えない。
しかし、彼と一緒に居れる自分は幸せになれるとは言い難い。
自分の幸せは、自分で決めれると思っている。
彼と一緒に居る自分はどうなのだろうか。
あの時のかっこいい彼はもういない。
ひとつが嫌になれば、全てが薄汚く感じる。
淡い思い出はその時だけである。
しかし、彼を見て学ぶこともあった。
自分のことを磨いていかなければ錆びていく。
一歩前進した私は、よりよい人生を目指して今日も健康で過ごしていきたい。